注目ワード「待機児童」
たびたび話題に上がる「待機児童問題」。子供が生まれる方や子育て中の方には気になる話題ですが、分かりにくい部分も多いのが現状です。ここでは、そんな待機児童の定義や取り組みについて紹介します。
登場人物
ゆきちゃん | のんびり屋さんだけど明るい性格。近々子どもが生まれる予定の妊婦さん |
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れいこ先輩 | しっかりもので物知りな会社の先輩 |
1. 待機児童の定義って?
ゆきちゃん、もう保育園は探し始めてるの?
まだ全然探してないです!生まれてからでいいかなーって思ってました。
そうなのね。住んでいる場所にもよるけれど、待機児童の問題や、保育園等の見学のことを考えたら妊娠中から動くのがおすすめよ。
へぇ、待機児童かぁ、確かに。考えてなかったです。私の住んでいる市はどうなんだろう?……あっ、待機児童0人みたいです。じゃあ問題なく入れますね。
ちょっと待って!そうとも言えないのよ。
えぇ!?なんでですか?だって誰も待機してないってことは、保育園にゆとりがあるってことですよね?
自治体で公表している数が0人だからといって、実際の待機児童が0人とは限らないのよ。待機児童数として算出されているデータは、育休を延長した人や認可外に入園した人は含まれていない数値なの。
じゃあ、実際は保育園に入れず泣く泣く育休延長した人がいても待機児童0人になってる場合があるんですね。定義が難しい…。
解説仕事と子育てを両立させるためには欠かせない子どもの預け先。保育園を探している人や、これから子育てを始める人にとっては気になる待機児童ですが、一般的に想像する待機児童と、厚生労働省の定義は異なります。
まず、「保育の必要性の認定(2号又は3号)があり、保育園等の利用申し込みをしているにも関わらず、利用調整の結果、利用できない状況にある児童」を一般的に想像するでしょう。しかしながら、厚生労働省の定義では、そこからさらに下記の児童を待機児童から除外することになっています。
そのため、自治体が出している待機児童数が0人となっていても、実際に希望する保育園に入れていない児童が隠れている可能性があります。
待機児童から除外される児童
- 求職活動を休止している保護者の児童
- 市が補助を行っている認可外施設に通う児童
- 事業内保育事業所を従業員枠で利用している児童
- 幼稚園の預かり保育等を利用している児童
- 企業主導型保育事業を利用している児童
- 保育園の入園を断った児童
- 転園を希望している児童
- 産休・育休明けからの入所予約を行っている児童
- 近隣に利用可能な施設があるが、私的な理由で希望しない児童
- 育休を延長した児童
- 待機児童とは、「入園を希望する児童の内、一定の条件の児童を除外した児童」のこと
- 自治体が公表している待機児童が0人でも、実際に保育園には入れない場合も
2. 実際の待機児童数は?
じゃあ、実際の待機児童の人数ってどうしたら分かるんですか?
実際にどのくらいの人が保育園の入園を待っているかという数値は、自治体によっては把握している可能性もあるけれど、公表はしていないと思うわ。
えー!じゃあ本当のところの待機児童がどのくらいかはわからないんですね。
そうなのよ。でも、どのくらい保育園に入りやすいかは知ることができるわよ。例えば、生活ガイド.comにも市全体の保育園の申込者を利用者で割った割合が公表されているし、それを基に入りたい保育園の倍率はどのくらいか自治体に問い合わせてみてもいいわね。
おお!早速自治体に問い合わせてみます♪
解説自治体が発表する待機児童ではなく、希望する保育園に入れていない児童数を知りたい場合、まずはお住まいの自治体に問い合わせをしてみましょう。自分が希望する保育園に入れるのか知りたい場合には、指標として有用です。
しかし、きちんとすべての数を把握していて教えてくれる自治体もあれば、数の把握や公表していない自治体もあるでしょう。具体的な数値を聞くことができなかったら、聞き方を変えてどのくらいの数の入園申し込みがあり、どのくらい入園できたのかを聞いてみてもよいかもしれません。
- 保育園の入園については自治体に問い合わせよう
- 知りたい情報が聞けない場合は聞き方を変えてみよう
3. 待機児童を減らす取り組み
私の住んでいる市だと、8割くらいは保育園に入れているみたいです。よかったあ。
よかったわね。まだまだ希望する通りとはいかないけれど、待機児童が問題になった2016年ごろに比べると、自治体の取り組みによって保育園に入りやすくはなったわよね。
へえ、そうなんですか?どういうことをしてるんです?保育園を増やすとか?
そうよ。保育園の新設はもちろん、預かってくれる保育士の育成支援事業を行っている自治体もあるわね。認可外保育園を認可保育園にする支援なんかも行っているわ。
そうなんですね~…。ところで、認可保育園と認可外保育園って何が違うんですか?
認可保育園は、児童福祉法で定められた基準をすべて満たす保育園のことよ。一部しか満たしていなかったりすると認可外保育園になるの。
じ、児童福祉法…む、難しい。
認可保育園は国や自治体からの補助金が支給されているから運営が安定していて、保育料も所得別だけど市区町村ごとに決められているのよ。認可外保育園は、オリジナリティのある保育サービスがあったりすることもあるわ。その分、認可保育園に比べて金額はお高めね。
な、なんと…!認可外保育園の方が高いんですね。認可外保育施設に入れたい人への支援はないんでしょうか?
自治体によるけれど、支援があるところもあるわ。例えば、本当は認可保育園に預けたかったけど、入れずに認可外保育所に預ける場合は、認可保育園に預けたときの保育料と同額になるまで補助してくれる、みたいなものがあるわよ。
!!!ちょっと調べます……私の市は、認可外保育園に入れる場合に、保育料の補助があるみたい!これで認可外保育園でも安心して預けられますね♪
それは良かったわね。
解説現在、待機児童数は減少傾向にあります。国や市区町村の様々な取り組みが少しずつ実を結んできているようです。
新規の保育園の設立やその支援だけでなく、働く保育士の育成に力を入れている自治体もあります。預かり先が増えるのはもちろんですが、保育の質を落とさないようにすることも重要です。
また、認可保育園と比べて割高な認可外保育施設に入れる際の保育料を補助している自治体もあります。認可保育園に入れたときと、認可外保育園に入れたときの差額を補助していたり、幼児教育・保育の無償化で補助されない副食費(おかず・おやつ代)などの一部経費の補助の拡充をしていたりと、補助内容は自治体によって異なりますが、子育て世帯への負担を軽減できるよう努力しています。
お住まいの自治体にはどのような制度があるか、一度確認してみましょう。
- 生活ガイド.comや自治体のサイトで補助金や取り組みについて調べてみよう